この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

6月22日(109)

由利子さま


6月22日、木曜日。日々が過ぎるのがあっという間で、怖すぎます。
ここんとこずっと晴れていて、今日はやっと梅雨らしいシトシト雨。


この前は久しぶりに電話でお話し出来て、嬉しかったです。


「くもをさがす」のサイン会で西さんに渡した手紙へのお返事が届きました。
手紙はいつも送ったっきりで、書く時間グッとその人に伝えたいことだけ考えて書いて、封を閉じたらまるっと忘れるのですが、それが、西さんには叫びとして届いたみたいです。
お返事の内容から推測する(自分の手紙やのに)に「わたしはひねくれてしまってそこから程遠くてつらいが、でっかいまっすぐな愛がだいすきで苦しい」てなことを書き殴っていたようです。それに対して西さんは「あんたは真っ直ぐに生きてるし、充分に愛ある!」というようなことを力強く書いてくれはってて、また、でっかい愛で、だいすきで、苦しかったです。

ほかにも沢山、つらつらつらつら書いた気がします。なんやわたしは、西さんからお返事なんか貰ったら世界が変わってしまうかもしれんと思っていたけど、世界は全く変わらんくて相変わらず突然全てが愛おしくなったり逆に全てを傷つけたくなったりするままです。「愛」とかやっぱり「ケッ!」と思ってしまう。そんなん信じひんわ、と思う自分もおる。でも間違いなく一生大事にできる、お守りができました。


毎朝起きるのがとってもしんどいです。冷蔵庫が壊れました。来週くらいに新しいのが届く予定です。

これからまだ何回も色んなものが次々壊れたり、だめになっていったりするんやと思ったら、生活をしていく自信がなくなります。でも、大好きな友達と会ってホコホコした気持ちで歩く帰り道とか、涙出るほど笑いこけられた友達のおもろい劇を観てた時間とか、そういうのを集めて、頑張ります。


「つねに自分がいるのは『いま』で、美しいと思うもののそばにいることを選びつづければ、美しいものがともにあるいまがつづくのか。どの時代でも、宇宙のどこにいても。」雪舟えまさんの短編小説(すみませんタイトルがパッと出てこない)より。


百合子