この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

8月23日(57)

由利子さま


8月23日、月曜日。早朝、雷が酷くて怖くて目が覚めてしまって、二度寝できなかったので、ずっと頭がぼんやりしています。


家の下の藪。想像しようとしてみるのですが、藪…藪…?Googleの画像検索に「薮」と入れてみて「ああそうかこれが薮やんな」と思っても、なんだろう、個々人の中にある、特別な藪、を、違う人の頭の中で再現するのは難しいんですね、多分。藪、としか言いようがないんやろうけど、藪…。と一人でぐるぐるしていました。


わたしも、少し前に、来春実家が引っ越すことになると告げられ、何とも言えない気持ちになりました。中学生〜大学卒業までの思い出が詰まった部屋が、戻れない場所になるのが寂しいです。窓からの景色とか、家の隣の公園から聞こえてくる音とか。なくなることになってから恋しがるなや、って心で分かってはいても。どうでもいいもの見たり聞いたりしてる時間、ないですね。人生。


わたしも最近音楽を聞きます。聞きます、というか、見ます?かも。フジロックも、齧り付いて見ていました。あーあ、狂っちゃいたいな、とか思ったりして。叫ぶ理由がないと叫んじゃいけないの、なんなん。クロマニヨンズ最高!でした。


春に応募していた短歌研究新人賞、結果が出ていて、予選通過に終わっていました。優秀賞の人の講評なんかを読んで「短歌ってこんなにこねくり回さんとあかんもんなん?」と少し暗い気持ちになりました。ひらめきみたいに詠んでるとこういう時行き詰まる。ひらめきならひらめきを突き通して強くならないと、とか昨日の日記に書いていました、さっき見たら。連作についてもう少し勉強をしてみます。


今月号の新潮に載っている、西さんの短編が最高でした。思い出すたびに涙出る。もし時間があれば読んでみてください…!


百合子