この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

7月3日(111)

由利子さま


7月3日、月曜日。暑い、日差しが熱い。
最近、強い光に弱くなっちゃって、サングラス必須です。


zine発行、年イチペースですか?すごい。
前に電話した時もお話しましたが、10zineの規模感がとても素敵だな、と思って見てます。東京は、作り手が多すぎて、目が回ります。
変なことを言うのですが…一人で書いたり詠んだりするのが好きなこと、忘れちゃいけないですよね。「読んで読んで」って言えんとあかん自分に悩んでしまう時がある。


写真、わたしもノーマルカメラ派です。友だちがアプリを使って構えてくれる時は一緒に写るけど、自分では使いません。そもそも、しっかりめのお化粧を施されるだけで、落ち着かなくなる人間なので…。でも面白いなと思います。画面の中でいくら盛れても、現実世界の自分は変わらないのに。流れて消えていくものと、残るものとへの気持ちの違いなんですかね。瞬間的にでも「なりたい自分になる」って、自己肯定感とか自己認識のために大切なのかも。友だちのことを思い出す時、大体頭に浮かぶのは写真に残った顔だし。他人の中の自分、の欠片の一つになり得るものを自分でコントロールしてる、みたいな感じなんかな。セピアとか、色調が変わるフィルターは好き。


昨日は、荒井良二さんの展覧会「new born いつも しらないところへ たびするきぶんだった」に行きました。色で、光で、溢れていて、ここ最近見た展示・触れたアーティストさんの中で一番「この人みたいになれたらよかったのに」と思いました。この人みたいに世界を受け取って、絵を描けたら、色を塗れたら、と…。山はピンク色でオレンジ色で緑色で、金色だ。

なんだか頭の中が上手く整理出来ないです。とにかく、人が多すぎる。喋るのが難しすぎる。早口で、高圧的にまくしたてる人のこと、今迄以上に苦手になってます。早口で言葉を投げられたら、「気づいてください…!」の祈りを込めて、丁寧に投げ返すようにしてみています。が、初球で受けたダメージを引きずる。書き言葉なら、こんなに(意味もなく)つらつらと書き続けられるのに。一人暮らしも五年目になって「誰かと長期的な関係を築くための努力」を怠っているゆえなのか?とも思う。ヤマシタトモコさんの『違国日記』にハマっています。姪っ子を引き取って一緒に暮らすことになった、小説家・槇生ちゃんの台詞が、今のわたしの心フレンドリーすぎる。アプリでも読めるので、もし、余裕があったら由利子さんに読んでみてほしいです。


村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』を読み始めました。これで、上手く沈められればいいな。


ブログとか、短歌とか、書けなくても、この日記は自然に書ける気がします。
酷暑始まるので、しっかりご自愛。


百合子