この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

8月7日(113)

由利子さま


8月7日、月曜日。今週からしばらく、天気がよくないみたいです。
昨日はお天気雨で、久しぶりに虹を見ました。


先月、会えてうれしかったです!ある意味お互いにとっての、ローカルな場所で…
マスターがあんまりにお喋りだから、由利子さんと話したのか、マスターと話したのか、分からなくなるくらいでしたが、とっても愉快な時間でした。
最新のZINEも、ありがとうございました!


身の危険を感じるほどの暑さが続いていますが、どうやって凌いでいますか。
わたしは、この前の週末は南極ゴジラの本公演、その前はフジロックで、身体がくったくたになっております。もちろん心地よい疲れですが。

フジロック3日間は、ちょっと異様な体験でした。「あ、音楽ってなんにもないところから生まれるんや」みたいな当たり前のことを、初めて肌と内臓で感じたというか…。普段イヤホンやなんやで聞いてるのって「写真」のようなもんなんやな、とも。海外アーティストのステージを浴びたのもほとんど初めてだったので、たぶんずっと口開いてました。YUKIちゃんを2列目ドセンターで観れて、跳ねて踊って泣きました。かっこよかった。永遠の憧れ…。


南極ゴジラの公演は、期待通りめちゃくちゃ楽しかったです。わたしの役割は、幕間のラジオと、後半部分の語り、即興での短詩作りでした。ラジオと語りは、原稿やお便りを読めばよかったので、噛みさえしなければ大丈夫だったのですが、即興詩作は…毎回すっごく焦りました。幕が開いてから考え始めて、劇のあるシーンでみんなに読み上げてもらうまでに完成させる、本当の即興を自分に課してみてました。なんとか、完遂できました。普段から、南ゴジのみんなのファンなので、4日間ずっと公演見守れたの、贅沢でした。


今回気付いたこと、わたしは自己肯定感低いのに中途半端に完璧主義(完璧なんてないのに)やから、自分の作ったものに対してがっかりしてしまう、んやってこと。ビギナーズラックで良い作品(と思えるもの)をつくれて、出だしはスラスラなのに、どんどん書けなくなって「一番最初につくった詩/歌は、すんごくよかったのに…」って落ち込んでいくけど、読み返してみたらそこまで変わらないんですよね。自分でハードルを上げていって、越えられなくなってつくることも諦めちゃう、みたいな。まさに短歌が今そんな状態です。


フジロック行って帰ってきて、変な話やけど、自分の「フィロソフィー」みたいなものはいったいなんなんやろう、と考え始めました。文体ってまさにその人の哲学じゃないですか?これきっと後から見返したら恥ずかしくなるんやろうな…


今週末は大好きな友だちと水族館に行きます。予定があえば、お盆は実家に帰ります。花火見たいな。


百合子