この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

3月23日(105)

由利子さま

3月23日、木曜日。
東京はちょうど今週桜が満開です。今日は、花散らしの雨が降っています。


『星のかがやきよ』、聴きながら書いてみています。
仲良い人の好きなものに触れたら「確かにこれはこの人の一部になっていそう」とか思うから、愉しいですね。ちょっとアイドルの曲っぽいですね。


お花見しましたか?

わたしは、桜の開花がぴったり、映画のポスプロ作業で東映の真っ暗部屋に篭りっきりの週にぶち当たって、誰も悪くないのを分かっていながら、一人でグレていました。一年で一番好きな空気やのに、ゆっくりお花見出来ひんし、満開になったと思ったらずっと雨やし。でも、なんやかんや、早起きして出社する前に近所の川沿いの桜を見に行って一人で三色団子食べながら歩いたり、夜中、池袋から東上線乗って最寄り駅で降りずに一駅分余分に乗って歩いて帰ってきたり、合間で必死にお花見してます。お花見への執着。満開の桜の木は、綺麗だからというより、狂気じみているから、好きです。木の肌に鼻をくっつけて嗅いでまわり、花びら一片食べてみました。味も食感もレタスでした。


あとは、WBCの日本戦を全部観ました。こんなの初めてです。アマゾンプライムで、移動中も観れたから気軽でよかったんかも。準決勝、日本の逆転サヨナラ勝ちのシーンは電車に乗っていたけど思わず大きな声で「やったー!」と叫んで拍手してしまいました。村上の笑顔見て泣きました。「意図的でないもの」を受け取るの、良かった。最近、表現物を受け取るのに疲れてしまったみたいです。なんも響かん。なんも響かんのに、詩や小説を音読すると、勝手に涙出る。


詩歌、自分と切り離してみようと思って筆名を考えました。「わたしにはこれしかない」と思い込む、信じる強さが必要なんやと思います。由利子さんはわたしよりずっと先にいはる気がする。


今日も今日とて夜逃げしたい百合子です。


百合子