この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

8月22日(56)

百合子様

8月22日日曜日。朝方から雨が降りしきる涼しい日でした。

今年も、大雨の影響は家や職場には出ませんでした。心配ありがとうね。
雨が降らない日がほとんどなく、風は涼しくて、夏はどこに行っちゃったんだろうと思いながら過ごしています。
セミもほとんど鳴かない。

ボケる、という文化があるところで育ちたかったなとこの数年、特にお笑いにハマってからよく思います。自分で怒りの感情をしぼませられるのもすごいなあ。前の職場にいた頃、時々やってくるおじさんに「お前はストレートしか投げれねえんだな」と言われたこと、いまだに刺さってるし根に持ってます。
入力と出力のフィルターをぱっきり使い分けられないんだろうな、たぶん。

2週間ぐらい前に、家の下の藪が突然なくなりました。土砂崩れ対策で木を全部切ってこれからコンクリを流し込んでいくそう。下の家の植木鉢の数まで数えられるほどの丸見え状態。重機やトラックが来て木がどんどんなくなっていく光景は見ていて気分が悪かったです。もう耳元で鳴いてるのかっていうぐらいセミがワンワン言うことも、野良猫が逃げ込むことも、アナグマが顔を出すこともない。
どこにも行けないし何にも手に入れられないのに、当たり前はぶっ壊される。
ここのところの大雨で作業が進んでいないのでこのまま雨がずっと降ってたら良いのにとすら思ってます。

色々言いましたがふつうに元気です。最近は髪が伸びて結べるようになりました。首の後ろを風が撫でていくの、気持ちいい。二十代のうちにもう一度ポニーテールと三つ編みがしたいです。

由利子

日記を書きながら聴いていた曲:nothing's carved in stone「chain reaction」、キセル 「ハナレバナレ」