この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

2月6日(103)

由利子さま

2月6日、月曜日。お誕生日おめでとうございます!
東京は晴れです。そちらのお天気はどうですか。


さっき、くどうれいんさんのネプリを印刷しに外に出たら、空がくっきり澄んでいて、あまりにも気持ち良すぎたので、部屋に戻ってきてもダウンを着たまま窓を開け放って外気を横頬に受けています。足は寒い。


28歳最初に聞いた曲はどの曲でしたか。


川上未映子さんの『すべて真夜中の恋人たち』が全米批評家協会賞の最終作に残ったニュースを見てから、およそ10年ぶりに読み直しています。ひかりとひたむきな恋愛が描かれた、ただ綺麗な物語だったように記憶していたのに、今読むと、全く違う感情(しかも少しドロドロしたような)が、胸の中で蠢くのを感じます。孤独も嫉妬も遠ざけようとすればするほど怖い顔をしてこちらに迫ってくる。校閲者で「ふだん本は読まない」主人公が描写する、人・人との間にあるもの・空気のこと、思わず「あっ」と同じ行を数回読み直してしまうくらい、見慣れたものがきちんと見慣れた言葉で甘やかに並んでいて、こんな風に世界を捉えられたらいいのに、と心底羨ましくなります。


この前わたしたちの朗読スペースを聞いてくれていた方が「二人のゆりこさんの朗読していたスペースが素敵だったから、届いたばかりの詩集を音読している」とツイートしてはって嬉しくなりました。定期的にやりましょ〜ね。


由利子さんにとって今までで一番キュートな1日・1年になりますように。


百合子