この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

1月19日(101)

由利子さま

1月19日、木曜日。
そんなに寒くない。明日が大寒で、土日がめっちゃ冷えるらしい。


一昨日は久しぶりに電話でお話し出来て楽しかったです。
祝!百回!ってお祝いすればよかった!二年半、わたしも全然、どこか目指すところに近づけたりはしていないけど、沢山歩いて新しいもん見たな、という気持ちです。


昨日、君島大空さんの初フルアルバムがリリースされて、そっからずっと聞いてます。
久しぶりに、CDを買いました。歌詞カードってやっぱり良いですね。
小学生の頃、ラジカセの横でずっと歌詞カード眺めながら聞いてた曲たちのことを思い出しました。


今年は、今年こそはもっと、自分の書いたものが多くの人の目に触れるようにしたい、です。
もうちょいど厚かましく貪欲に… 「◯◯な自分は想像できない」呪いから自らを解放する!


去年より頻繁に、朗読やらなんや、やりたいですね。


百合子

1月4日(100)

百合子さま

1月4日、水曜日。お正月からずっと気持ちよく晴れています。
今年の年末年始は、親戚の子が泊まりに来たり、高校の部活の友だちと集まったり、ひとりの時間が欲しくてふらっと動物園に行ったりしていました。
本やら映画にはあまり触れられんかったな。次の三連休に期待。

交換日記、今回で100です!いつか来るだろうとわかっていたけど感慨深い。太田垣から一通目をもらったのは、2020年6月28日でした。そこから、2年半ほど。少しは進んだり見えるものが広がったりはしたけど、思ったより遠くには行けてないなと思います。

前回日記を送ってから、防寒グッズをあれこれと買ったおかげでだいぶ暖かく過ごしています。これまでが軽装備すぎたんじゃないかと思うぐらい。一番すごいのは腹巻きです。カイロ貼らんで良くなった。次点でレッグウォーマー。

今年の目標、をまだちゃんと考えられてないのですが、もっと読み、もっと書き、もっと撮る。これに尽きるかな。あとは何度か旅をしたいです。

2023年、軽やかに走り抜けていきたい。

ではまた。

由利子

12月26日(99)

由利子さま

12月26日、月曜日です。

今年はイブとクリスマスが休日だったので、街全体がふわっふわしていて楽しかったです。
映画(『ケイコ 目を澄ませて』)を観たり、少し遠出をして、星を見たり、夜中眠い頭でチェスをして連敗したり、雲一つない青空の下の富士山を見たり、ロープウェーで高いところに上ったり、友だちの家で小さくパーティーをしたりしました。2日間の出来事とは思えないほど盛りだくさん…。おほほ。

『ケイコ 目を澄ませて』は、とても、好きな映画でした。岸井ゆきの演じるケイコ(生まれた時から耳の聞こえない、プロになりたてのボクサー)には、殆ど台詞がないのに、手話や目の動きだけで、痛いくらいに気持ちが伝わってきて、終盤ずっと静かに泣いてしまいました。自分の思いを即座に人に伝えたくても、手話が分かる人にしかそれが出来ないケイコの抱いているだろうもどかしさと悔しさ、耳が聞こえないがゆえに入ってこないで済む雑音、そのおかげで得た人並外れた集中力。澄んだ水の中に潜っているような感じなのかな…。
映画の趣旨とは少し違うかもしれないけど、最近は「言葉にしたら消えてしまうもの」のことをよく考えています。自分の使いたい・使うべき言葉を拾うスピードを上げたい。キャッチボールのための言葉と、自分のための言葉とを、ごちゃまぜにしちゃあかんな、とかも。吉増剛造の個展に行った日の日記には「自戒:コピペの言葉を使わない」って書いてました。


抜歯、痛いですよね…。Eラインって何か分からなくて調べました。わたしは親知らずを抜いた時、顔小っちゃくなるかなとか期待したのに何も変わりませんでした。早く、痛みが引きますように…。

寒さ対策は、ゆたぽんです!電子レンジであっためる湯たんぽ。眠る時いつも布団の中に入れています。日中家に居る時は、ウルトラライトダウンを着てスヌードを巻いて、がんがんに暖房をかけています。あと、お茶に生姜を入れる。


今年もあと5日ですね。あっという間に過ぎたような、しっかり一日一日踏みしめて歩いたような。
多忙だった日々が終わってからも、思うように短歌を詠めなくて、苦しいので、この、原因不明のしこりは今年に残して、年を越したいです。
今朝久しぶりに、幼い頃から見ている「感触の夢」が起きた時に残っていて、また、書けるようになる予感がしました。予感だけだけど…

わたしは明後日、帰阪します。由利子さんが(歯は痛くても)良いお年を迎えられますように。
年賀状書きます!(多分!)

百合子

12月20日(98)

百合子さま

12月2日、金曜日。
街が薄暗いです。いきなりぴしゃっと寒くなりました。体が縮こまる季節、苦手です。
とだけ書いてました。

ここからは、20日火曜日に書いてます。
晴れてるけど寒いです。空気が手足の先を刺してくる。
寒いと体が縮こまって、色んなものがちゃんと体に入ってこない気がする。苦手です。
家のリビングにこたつが出たんですけど、自分の部屋じゃないと書いたり読んだりしないのがわかったのと、こたつを起点にけんかが勃発したので、まるまる着込んで自室で過ごす準備をしています。部屋の中で履く裏起毛のブーツとか、買いました。
百合子は部屋の中での寒さ対策、なにしてますか?

歯の矯正治療を始めました。5本も(!)歯を抜かないと治療ができないと言われたので、この1ヶ月で3本抜きました。元気な歯を抜いた時は、なにか大事なものを失ってしまったのではないかとうっすら怖くてさみしい気持ちが胸ん中を吹き抜けていきました。自分の体、と思うからダメなのかもしれない、体は船で、あくまでも魂の乗り物で、必要に応じて修繕してるだけと考えるようにしたら少し気楽になりました。(へんなスピリチュアルっぽいですが大丈夫です!)
というか、おかゆより固いご飯食べれないし、歯の根元につけられた金具が痛くて夜中目が覚めたりして、あんまり深く考えるひまがなくなった。
矯正のお医者さんから「治療を終えたら口元が引っ込んでEラインが綺麗に出ますよ」と言われたけど、そんなことより声が変わらないかなって期待してます。もう少し、地に足ついた声になってほしい。

今年はおせちを食べられないのがちょっぴり嬉しいです。寒天と黒豆だけ食べよう。
年末年始、気ままに過ごすぞ〜

ではまた

由利子

11月24日(97)

由利子さま

11月24日、木曜日!
昨日のどんより空模様が嘘みたいに、ピッカン晴れてます。


昨日27歳になりました。母がわたしを生んだ歳です。信じられん。
誕生日やからなんなんや、と大人ぶりたいところですが、わたしは「○月最後」とか、「○月初日」とか、そういうのをおそらく人一倍、特別に思っている人間なようで、今回もしっかり「26歳最後の夜ご飯」や「27歳最初に聞く曲」など、色々考えながら食べて聞いて寝て、人と会いました。

↑ちょっと格好良く書いてみたけど、実際は、朝ごはんに成城石井のフルーツ盛り合わせ(前日夜遅くにディスカウントされていたのを買った)を食べて、お昼間はイギリスから日本に遊びに来ている親友とカラオケでパーティーをして、夜に君島大空独奏LIVEに行きました。今のわたしには、これ以上ハッピーには出来ないくらい素敵な日でした。


坂本繁二郎、いいですね。アーティゾン美術館でやってた時に行けなかった展示です…。関係ないけど、以前、Zoomで話した時にユルリ島のことを教えてもらってから、馬と淡い色の空を見ると勝手に由利子さんを思い出すようになりました。


わたしはこの間立川のPlay!museumに、junaida展を観に行きました。一枚の絵に描かれている世界が奥深く、どこまでも続いてくので、一つ一つ見入っていたら、丸っと5時間かかりました。家でも図録を眺めています。junaidaさんの絵本、「の」とか、読んだことありますか?自分にはまだまだ見えていないものがあるな、と思わせられますが、そんなこと関係なしにとにかくヘンテコ可愛いのです…


モンブラン、わたしも好きです!中がメレンゲのんよりスポンジ生地のが好きです!今年の一日の平均歩数9000歩以上を保つべく、せっせと歩いています。


もう、すぐに12月ですね。


百合子

11月7日(96)

百合子さま

11月7日、月曜日。
秋の光と色の豊かさに毎日ニコニコしてます。
愉快な月にしておくれ。

3日、久留米市美術館に坂本繁二郎の絵を見に行きました。
「ふたつの旅」という展覧会タイトルで、同じ久留米市出身で同い年の青木繁との合同展です。
繁二郎は馬や月を描いた絵が有名な画家です。ほんとにいいんです、繁二郎が描く馬。
やさしい色合いの水色や薄いピンクや黄緑やらで馬が描かれていて、九州に漂うのどかな日の光や風がそこにある。
ふわ〜っと幸せな気持ちになれて、外も雲一つない秋晴れだったので美術館の外に出ても地続きに感じました。
九州は気候がいいから良くも悪くもなかなか深刻な気持ちにならんな。だから私が書くものもいっつもどこかのんきなんかなと思ってたんやけど、
いいやん、のんきで。と納得できた気がする。
それから、繁二郎がフランスで絵を学んだ後に東京に行かずに、八女市久留米市の隣)に家とアトリエを構えて、生涯そこで制作したと知って勝手に励まされました。
◯◯をやるなら△△にいないとだめ、とかない。
私は、私が好きな景色があるうちは、その景色から物語を感じるうちはここにいようと思います。

最近、私の性格や行動にタダ乗りしてきてるのかなと周りの人から感じることがあって、自分が言いたいことやりたいことは自分でやってほしいし、そんならもうやらん、と拗ねてたのですが、こうなりたいと思ってる人たち(一人は大学の先生、一人は東京におった頃お世話になってたカメラマン)の顔を思い浮かべて、もっと大きく構えていようと思いました。
やるべきだと思ったらやるし、それを利用したい人はすればいい。と考えたら楽になった。

最近は、母の影響でモンブランハンターになりつつあります。母の代わりにモンブランを買って帰ったことから始まり、気づけば「忘れられないモンブラン」を探し求める日々です。
通勤路にあるケーキ屋さんのが評判なので何度か足を運んでますが、いつも売り切れ。栗の時期が終わるまでに食べたいものです。
栗のおいしさにも最近気付いた気がします。この前散歩の途中に入ったパン屋さんで買ったマロンパイがとっってもおいしかった。栗餡の柔らかさと甘さがベストでした。
あれもまた食べたい。

空が寒々しくなる前にたくさん散歩しようっと。

由利子

11月1日(95)

由利子さま

11月1日、火曜日。去年の今日も書いた気がしますが、ハローノーベンバー。
大好きな11月がやって来ました。絶対愉快な月にします。


先月半ばにクランクアップしました。3時間睡眠4時起きの日々から、元の生活リズムに戻すのに時間がかかって、暫くずっと顔が変だったのですが、先週の木曜日に、自分のご褒美に♪と現場中にチケット買ってたクロマニヨンズとカネコアヤノのツーマンに行って、完全復活しました。あんなに、全細胞が喜んでるのを感じたライブは久しぶりでした…とにかく格好良かった。難しいことを考えなくとも、勝手に詩が熱が身体に入り込んできて掻き回してくれる、音楽って偉大や〜。


ライブの翌日は高校からの親友と青森旅行!弘前、青森、八戸、十和田、と大移動しました。
一番のお目当ては、電気も電波も届かない、部屋の灯りはランプだけ、の「ランプの宿」でした。ランプ一個だけじゃ、全然足りひんのですよ。焚き火みたいに火がゆらゆら揺れるわけでもなく、ただひたすらぼうっと小さく、灯っている。暗さに目が慣れて、たまに写真を撮ろうとしてスマホの画面を点けると、明る過ぎて見てられへん。嗅覚・視覚・聴覚がグンとシャープになって、普段だったら然程気にならないやろう川のせせらぎが異様に大きく聞こえる。親友はカメムシハンターになり、すぐにヤツの匂いを嗅ぎ付け、ガムテープにくっつけて捕まえてくれていました。そのほかも、電車の窓から林檎畑を眺めたり山の中で八甲田山を目視(!)したり人気の全くないダムで叫んでやまびこを得たり美術館に行ったり星を見たり、しました。久しぶりに、アホみたいにずっと「たのしー!」って言ってました。


由利子さんまた新しいZINE出しはったんですね!読みたい!

今月は仕事で博多に行く予定です。色々滞ってたこと、少しずつ再開していきたいです。さみしさに負けずに、深く自由に潜れますように。


百合子