この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

11月7日(96)

百合子さま

11月7日、月曜日。
秋の光と色の豊かさに毎日ニコニコしてます。
愉快な月にしておくれ。

3日、久留米市美術館に坂本繁二郎の絵を見に行きました。
「ふたつの旅」という展覧会タイトルで、同じ久留米市出身で同い年の青木繁との合同展です。
繁二郎は馬や月を描いた絵が有名な画家です。ほんとにいいんです、繁二郎が描く馬。
やさしい色合いの水色や薄いピンクや黄緑やらで馬が描かれていて、九州に漂うのどかな日の光や風がそこにある。
ふわ〜っと幸せな気持ちになれて、外も雲一つない秋晴れだったので美術館の外に出ても地続きに感じました。
九州は気候がいいから良くも悪くもなかなか深刻な気持ちにならんな。だから私が書くものもいっつもどこかのんきなんかなと思ってたんやけど、
いいやん、のんきで。と納得できた気がする。
それから、繁二郎がフランスで絵を学んだ後に東京に行かずに、八女市久留米市の隣)に家とアトリエを構えて、生涯そこで制作したと知って勝手に励まされました。
◯◯をやるなら△△にいないとだめ、とかない。
私は、私が好きな景色があるうちは、その景色から物語を感じるうちはここにいようと思います。

最近、私の性格や行動にタダ乗りしてきてるのかなと周りの人から感じることがあって、自分が言いたいことやりたいことは自分でやってほしいし、そんならもうやらん、と拗ねてたのですが、こうなりたいと思ってる人たち(一人は大学の先生、一人は東京におった頃お世話になってたカメラマン)の顔を思い浮かべて、もっと大きく構えていようと思いました。
やるべきだと思ったらやるし、それを利用したい人はすればいい。と考えたら楽になった。

最近は、母の影響でモンブランハンターになりつつあります。母の代わりにモンブランを買って帰ったことから始まり、気づけば「忘れられないモンブラン」を探し求める日々です。
通勤路にあるケーキ屋さんのが評判なので何度か足を運んでますが、いつも売り切れ。栗の時期が終わるまでに食べたいものです。
栗のおいしさにも最近気付いた気がします。この前散歩の途中に入ったパン屋さんで買ったマロンパイがとっってもおいしかった。栗餡の柔らかさと甘さがベストでした。
あれもまた食べたい。

空が寒々しくなる前にたくさん散歩しようっと。

由利子