この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね

太田垣 百合子と立野 由利子の発行したZINE『この窓のこの角度からの景色には世界でいちばん詳しくいるね』の続きです。

12月26日(99)

由利子さま

12月26日、月曜日です。

今年はイブとクリスマスが休日だったので、街全体がふわっふわしていて楽しかったです。
映画(『ケイコ 目を澄ませて』)を観たり、少し遠出をして、星を見たり、夜中眠い頭でチェスをして連敗したり、雲一つない青空の下の富士山を見たり、ロープウェーで高いところに上ったり、友だちの家で小さくパーティーをしたりしました。2日間の出来事とは思えないほど盛りだくさん…。おほほ。

『ケイコ 目を澄ませて』は、とても、好きな映画でした。岸井ゆきの演じるケイコ(生まれた時から耳の聞こえない、プロになりたてのボクサー)には、殆ど台詞がないのに、手話や目の動きだけで、痛いくらいに気持ちが伝わってきて、終盤ずっと静かに泣いてしまいました。自分の思いを即座に人に伝えたくても、手話が分かる人にしかそれが出来ないケイコの抱いているだろうもどかしさと悔しさ、耳が聞こえないがゆえに入ってこないで済む雑音、そのおかげで得た人並外れた集中力。澄んだ水の中に潜っているような感じなのかな…。
映画の趣旨とは少し違うかもしれないけど、最近は「言葉にしたら消えてしまうもの」のことをよく考えています。自分の使いたい・使うべき言葉を拾うスピードを上げたい。キャッチボールのための言葉と、自分のための言葉とを、ごちゃまぜにしちゃあかんな、とかも。吉増剛造の個展に行った日の日記には「自戒:コピペの言葉を使わない」って書いてました。


抜歯、痛いですよね…。Eラインって何か分からなくて調べました。わたしは親知らずを抜いた時、顔小っちゃくなるかなとか期待したのに何も変わりませんでした。早く、痛みが引きますように…。

寒さ対策は、ゆたぽんです!電子レンジであっためる湯たんぽ。眠る時いつも布団の中に入れています。日中家に居る時は、ウルトラライトダウンを着てスヌードを巻いて、がんがんに暖房をかけています。あと、お茶に生姜を入れる。


今年もあと5日ですね。あっという間に過ぎたような、しっかり一日一日踏みしめて歩いたような。
多忙だった日々が終わってからも、思うように短歌を詠めなくて、苦しいので、この、原因不明のしこりは今年に残して、年を越したいです。
今朝久しぶりに、幼い頃から見ている「感触の夢」が起きた時に残っていて、また、書けるようになる予感がしました。予感だけだけど…

わたしは明後日、帰阪します。由利子さんが(歯は痛くても)良いお年を迎えられますように。
年賀状書きます!(多分!)

百合子